2025年現在、日本最大級の製薬企業・(4502)武田薬品工業の株価が割安水準にあるとして、個人投資家・機関投資家の双方から注目を集めています。
高配当利回りやグローバル展開を背景に中長期的な成長が期待される一方で、株価が長期低迷しているのはなぜなのでしょうか?
本記事では、武田薬品の株価が割安とされる4つの理由を明らかにするとともに、今後の業績見通しや買い時のタイミングについてわかりやすく解説します。
武田薬品工業の株価が割安な4つの理由
1. 巨額買収による財務リスク
2018年に約6兆円でアイルランドの製薬企業シャイアーを買収した結果、有利子負債が一時6兆円近くに膨らみました
この借入の影響で財務体質に対する懸念が根強く、株価の重しになっています。
資産売却での圧縮は進んでいるものの、完全な信頼回復には至っていません。
2. 低いROEと収益性の課題
近年のROE(自己資本利益率)は2〜3%台と製薬業界平均を下回っており、本業での利益創出力に疑問を持たれています。
売上の伸びに対し利益率が追いついていないことも、評価の低さにつながっています。
3. 特許切れと成長戦略の不透明感
主力製品の特許満了が相次ぎ、新薬の開発・上市スピードも一部で遅れが見られています。
特にADHD治療薬「Vyvanse」の特許切れ後の影響が大きく、パイプラインの成果が株価に反映されるには時間がかかると見られています。
4. 外部環境リスク(薬価・為替)
米国における薬価抑制政策や為替変動の影響も武田薬品の業績に直接響きます。
これらの外部要因によって業績が左右されやすく、安定成長への疑念が株価を押し下げていると考えられます。
株価推移
2020年に2894.5円だった株価は、2023年に4873円まで上昇しております。
そこから3916円まで落ち込んでおります。
直近決算での業績
売上高は年々上昇しております。
営業利益は2023年までは堅調に推移しておりましたが、2024年に落ち込んでおりました。
直近決算での業績に関しては
消化器系疾患の売上高1兆3570億円(前期比6.8%増)、希少疾患の売上高7528億円(前期比4.6%増)、血漿分画製剤の売上高1兆327億円(前期比8.6%増)、オンコロジーの売上高5604億円(前期比17.2%増)、ワクチンの売上高554億円(前期比7.5%増)、ニューロサイエンスの売上高5658億円(前期比14.1%減)、その他の売上高2574億円(前期比20%減)となっております。
配当金推移
配当金に関しては180円を安定的に出しておりましたが、2024年に188円、2025年は196円と増配しております。
配当性向は138%とかなり高く、利益を超える配当を出しております。
配当利回りは4.6%とかなり高く、高配当銘柄と言える水準となっております。
武田薬品工業 今後の業績見通し(2025年度)
今後は少しずつではありますが、業績は回復していくと思われます。
ただ今後の成長に関しては新薬がカギとなってくるでしょう。
人によっては製薬会社の株は『ギャンブル』という言い方をされますが、増配をしっかりと行い、自社株買いも行うといった株主還元をしっかり行っていることから長期保有を視野に入れて購入してみてもいいかと思います。
直近の株価は動いていないので、インカムゲイン狙いの銘柄だと思っております。

武田薬品の「買い時」はいつ?
現在の武田薬品の株価は、さまざまなリスクが織り込まれていることで割安水準にあると考えられますが、具体的に「買い時」はいつなのか、いくつかの視点から検討してみましょう。
1. 配当利回りで判断するなら今が好機
2025年6月現在、武田薬品の株価は4,000円台前半で推移しており、予想配当金(年間200円)から計算される**配当利回りは約4.7〜5.0%と、東証プライム上場企業の中でも非常に高い水準です。
利回りが5%を超える水準であれば、インカムゲイン(配当収入)目的の投資家にとっては「買い時」といえるでしょう。
2. 業績回復と新薬パイプラインに注目
武田薬品は近年の買収・構造改革によって財務健全性を高めつつあり、同時に複数の新薬が第3相臨床試験段階に進んでいます。
特に、2025年度中に発表される新薬の承認可否や、売上への寄与が期待されている以下の製品群は注目です。
TAK-861(ナルコレプシー)
TAK-279(自己免疫疾患)
TAK-007(がん治療:CAR-NK細胞)
これらの進捗がポジティブであれば、株価の反転材料となる可能性が高く、発表前の押し目が狙い目です。
3. テクニカル分析上の買いタイミング
テクニカル的には、武田薬品は2023年から2025年にかけて長期的な下落トレンドにありましたが、2025年春以降に底打ちの兆しも見え始めています。
PBRは約0.9倍と純資産を下回る水準で推移しており、「割安」の目安となる1倍以下。
RSI(相対力指数)やMACDなどの指標で売られ過ぎシグナルが出ていれば、短期的なエントリーポイントと見なす投資家もいます。
4. 分散投資・長期保有視点が有効
とはいえ、外部環境リスク(薬価改定、為替変動、FDAの審査など)が不透明である以上、一括投資ではなく「分割エントリー」や「長期保有」が基本戦略です。
四半期ごとの決算や薬事承認の進展に合わせて、段階的に買い増す方法がリスク分散に効果的です。
投資スタイルに応じて、配当狙い+成長期待のバランス型投資としてポートフォリオに組み入れるのも良い選択です。
まとめ
武田薬品の株価が割安とされる背景には、巨額買収後の財務不安、収益性の低さ、成長の不透明感、外部リスクの存在といった複合的な要因があります。
ただし、業績は回復傾向にあり、株主還元姿勢も強まっているため、将来的な反発余地は十分にあると考えられます。
「高配当かつグローバル展開を持つ製薬株」として、長期的な視点から投資対象として検討する価値は高いでしょう。

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