なぜ株価は上下するのか?
投資の判断に“理屈”は必要なのか?
そして、理論を学んだ先に何があるのか。
投資や金融の世界に足を踏み入れると、必ずと言っていいほど耳にする言葉があります。
「効率的市場仮説(EMH)」「モダンポートフォリオ理論(MPT)」「CAPM」
聞いたことはあるけれど、それが実際にどう役立つのか、ピンとこないままの方も多いのではないでしょうか。
田渕直也氏の著書『ファイナンス理論全史』は、そんな“名前だけ知っている理論”の背景や文脈を、金融の歴史とともにわかりやすく解説してくれる一冊です。
本書の特徴は、数式や専門用語を使わずに、ファイナンス理論の100年をストーリーとして描いている点や、経済の進化、市場の変動、投資家心理の揺れを通じて、理論がどのように生まれ、どんな課題に応えようとしてきたのかを追体験できます。
この記事では、『ファイナンス理論全史』の内容をベースに、「なぜ今、ファイナンス理論を学ぶべきか」「理論を知ることで見えてくる“投資の本質”とは何か」を考えていきます。
ファイナンス理論を“歴史”として読む面白さ!
田渕直也さんの『ファイナンス理論全史』は、単なる理論解説書ではありません。
リスク、リターン、分散、効率的市場、行動ファイナンス…金融の世界を支えるキーワードたちが、どのようにして生まれ、どう変化してきたかを「物語」として追体験できます。
たとえば、1950年代のモダンポートフォリオ理論(MPT)から、1970年代のCAPM、ブラック=ショールズ、そして2000年代以降のビッグデータやAIファンドまで。市場が変わるたびに理論も進化し、「金融は生き物だ」と実感させられます。
数式なしでも深く理解できる!
この本のすごいところは「数式を使わずに」最先端理論まで解説している点です。
専門書だと挫折しがちなブラック=ショールズ方程式も、「リスクの価格」として視覚的・直感的に理解できるよう丁寧に説明されています。
投資経験者はもちろん、金融を学び始めた学生や文系出身の社会人にも安心しておすすめできます。
理論と現実の“ねじれ”を知ることの価値!
私が特に印象的だったのは、「効率的市場仮説(EMH)」と「行動ファイナンス」の対立構造です。
教科書的には「市場は常に合理的」とされながら、現実ではバブルや暴落が繰り返されます。
田渕さんはこの矛盾を、単なる学説争いではなく「人間の認知の限界」として描き出します。
だからこそ、理論を知ることで“合理的に間違う”危険から自分を守ることができる――そう教えてくれます。
まとめ:理論を知れば、未来が読めるわけではない。でも…
ファイナンス理論を学ぶことで、相場の未来が「当てられる」ようになるわけではありません。
でも、自分がどんな仮説に基づいて投資しているのか、その前提がどこから来ているのかを理解することで、投資に“軸”ができます。
『ファイナンス理論全史』は、その軸を与えてくれる良書です。
「投資に強くなりたい」と思っている人ほど、ぜひ読んでみてください。

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